相続の税務調査とは?川崎の税理士が解説

相続税は申告して終わりではありません。申告後に「税務調査」が入る可能性があるからです。川崎で相続税専門の税理士業を営むなかで、お客様の税務調査に対応することもあります。

税務調査は「忘れた頃にやってくる」とよく言われており、税務調査についてよく理解しておけば慌てずに済みます。そこで今回は、税務調査の概要、 調査が入る確率や指摘されやすいポイントなどを具体的に解説します。

税務調査とは

税務調査とは、税務署が正確な課税を確保するために行う調査のことです。

相続税納税者の申告内容が適切であるか確認し、必要に応じて是正を求めます。実施主体は国税庁や税務署の職員で、川崎市の場合は中原区・高津区・宮前区が川崎北税務署、多摩区・麻生区が川崎西税務署、川崎区・幸区が川崎南税務署の管轄です。対象者は納税者本人や代理人で、税理士はその代理人として認められています。場所は税務署内もしくは納税者の会社や事務所・自宅等で実施されます。

ちなみに「税務調査を受ける=罰金が発生する」と考えている方が多いですが、税務調査の時点でペナルティが確定しているわけではありません。調査結果によっては、追徴課税などのペナルティが科せられることもありますが、事前に確定しているわけではないので、しっかり対応すれば税務署の懸念を解消し、ペナルティを避けることができます。

過去の税務調査件数

「税務調査なんて、そうそう入るものじゃない」と思う方も多いかもしれませんが、実はそうでもありません。

国税庁によると、税務調査実績(現地訪問と簡易調査の合計)は令和2年度で18,740件、令和3年度で21,047件、令和4年度で23,200件でした。参考までに、相続税の申告件数は令和2年度で120,372件、令和3年度で134,275件、令和4年度で150,858件でした。上記の税務調査実績には、無申告に対する調査も含まれるので一概には言えませんが、決して少なくない件数が指摘を受けているのです。

(参考)

税務調査で指摘されたらどうなるのか

税務調査で指摘されて納税者が誤りを認めた場合、適切な税額を納付する必要があります。

過少申告分の税金と、ペナルティとして「延滞税」と「加算税」を納付することになります。過少申告が故意であった場合や重大な過失であった場合は、「重加算税」が課税されることがあります。特に悪質な場合は刑事罰の対象となることもあります。指摘事項に対して納税者が納得できない場合は、税務署に対して再調査を申請することが可能です。

税務調査で指摘を受けた場合の追徴金額は、現地調査の場合は平均816~943万円(令和2~4年度実績)、簡易調査の場合は47~58万円(令和2~4年度実績)となっています。相続がひと段落したとて、数年後にこれだけの金額を納税するのは大きな負担になるでしょう。場合によっては、相続した不動産や金融資産を現金化しなければ支払えないケースも起きえます。

(参考)

相続の税務調査で指摘されやすいポイント

税務調査が入ることが多いケースは次の通りです。

・相続額が大きい場合(特に2億円以上)
・相続財産に預貯金や現金が多く、出入が多い場合
・名義預金や暦年贈与が多くある場合
・家族の財産が多い場合
・税理士に依頼せず自分で申告した場合(申告書に不備・添付書類に漏れがある場合)
・相続税の申告で財産の漏れが疑われる場合
・相続税の申告が必要にも関わらず申告がなかった場合

顧問税理士がいるメリット

顧問税理士がいることによるメリットを考えてみましょう。

税務調査への代理対応

納税者本人が税務調査に対応する場合、不適切な回答をしてしまうことがあります。

税務調査は「忘れたころにやってくる」と言われることが多く、納税者は何年も前の相続税の申告内容を覚えていないことが多いのです。しかし税理士であれば、しっかり申告関連書類を保管しており、税務署からの照会に対して間違いのない回答をすることができます。

また、普段仕事で忙しいなど、税務調査への対応ができない場合に任せられるメリットもあります。

申告時からの事前対応

財産の抜け漏れなく、また聞かれたことに対応ができる状態まで準備して相続税申告の提出する必要があります。相続税専門の税理士に任せることで、懸念点を事前に洗い出すことができ、税務調査が入る可能性そのものを減らすことが可能です。

故人をじっくり偲ぶために

大切な方が亡くなったときは、故人を偲び、お近くの方々と想いを共有することに時間を使っていただきたいです。お金のアレコレに悩んでほしくありません。葬儀などでお忙しいなかで、誤った相続税申告を行い、時間が経ってから日常生活に支障をきたす事態も避けて頂きたいと思っています。

だからこそ相続専門の税理士として、お客様が大切にすべきことに意識を向けられるようにサポートをしてまいります。

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