相続税の算定に集めるべき必要書類と申請先とは。川崎エリアの場合は?

相続税の算定に必要な書類

相続税の申告手続きで最も負担が大きいのが必要書類の収集です。普段の仕事をしながら、有給休暇を取るなどして時間をつくり、関係各所を巡ります。場合によっては申請書類の不備によって再訪問・再申請が必要になる場合もあります。

書類集めは税理士や司法書士に任せることもでき、当税理士事務所ではそういった業務のお引き受けもしていますが、ご自身で対応する場合もあるでしょう。そこで今回は、ご自身で収集するという方向けに、必ず集めなければならない書類と交付を受けられる場所、交付手続きの方法を解説していきます。また川崎エリアの場合についても紹介します。

即日発行できるもの

被相続人の住民票の除票

住民票の除票とは、転居や死亡などにより登録抹消されたもので、かつてその自治体に住んでいたことを証明する書類です。本籍地を確認するために取得します。亡くなった方の住民票登録している自治体と本籍地が異なることは多々ありますが、住民票の除票で本籍地が記載されたものを取得すれば、本籍地が分かります。

被相続人の戸籍謄本

本籍地が分かったら、戸籍謄本を取得します。被相続人の出生から死亡までで、本籍地として登録されたことがある全て自治体で戸籍謄本を取得します。本籍地が変更されたことがなければ1か所だけで良いですが、変更があった場合は、変更があった自治体ごとに取得する必要があります。

なぜ全ての自治体の戸籍謄本が必要かと言うと、法定相続人となる配偶者、子、親、兄弟姉妹を確定させるためです。婚姻外の子や養子、面識のない兄弟姉妹がいる場合がありますが、各自治体の戸籍謄本を確認することで、そういった血縁関係を漏れなく把握するのです。

効率的に取得するために、住民票の除票に記載されている被相続人の死亡時の戸籍謄本から取得しましょう。その戸籍謄本を見れば、本籍地の移転履歴が記載されていますので、履歴にある自治体で戸籍謄本を取得していきます。

川崎エリアの場合は、市内すべての区役所(市役所では扱っていません)・支所・出張所・行政サービスコーナーで請求することができます。以前は各自治体個別に連絡を取って戸籍謄本を取得する必要がありましたが、戸籍法が改正され、広域交付制度が始まりました。最寄りの請求可能な施設へ行けば全ての戸籍謄本を一括で集められるようになりました。ただし広域交付制度を利用する場合は即日ではなく、後日交付となりますのでご注意ください。

相続人の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書

法定相続人が確定出来たら、各相続人の戸籍謄本と印鑑証明書を集めます。

戸籍謄本は、法定相続人が生存していることを証明するために用意する書類です。相続人のうち、亡くなっている方がいる場合や、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になる場合は別途対応が必要になりますので、お近くの相続専門の税理士に相談してみてください。

住民票は、被相続人から相続人へ不動産登記を変更する際に必要となります。戸籍謄本に基づき確認した相続人情報と、相続人本人が同一人物であることを照合するためにも必要となります。

印鑑証明書は、後日の相続税申告で提出する遺産分割協議書に捺印される各相続人の印鑑が実印であることを証明するために必要となります。戸籍謄本の取得と同時に取得するのが効率的です。

川崎エリアの場合は、市内すべての区役所(市役所では扱っていません)・支所・出張所・行政サービスコーナーで請求することができます。参考までに、川崎市のWebサイトを以下に載せます。詳しい手続き方法を知りたい方は、チェックしてみてください。

川崎市HP:住民票の除票の写し

川崎市HP:戸籍全部事項証明

川崎市HP:住民票の写し

川崎市HP:印鑑登録証明書

不動産関係書類

被相続人がどのような不動産を持っているか分からない場合もあります。また認識している不動産が全てとも限りません。そこで「名寄帳」を取得します。名寄帳には被相続人の全ての不動産が一覧で記載されています。

不動産を把握したら、該当不動産の固定資産税評価証明書を取得します。これには不動産の評価額が記載されているので、相続税申告の根拠資料として用います土地と建物それぞれで取得しましょう。固定資産税評価証明書は、東京都の場合は都税事務所で取得できます。川崎市の場合は、各市税事務所市民税課管理係・市税分室管理担当、各区役所(支所)市税証明発行コーナーで取得できます。

他にも様々な書類が必要です。地積測量図や公図の写し・登記簿謄本は法務局(川崎市の場合は川崎支局および麻布出張所)で取得できます。参考までに、川崎市のWebサイトを以下に載せます。詳しい手続き方法を知りたい方は、チェックしてみてください。

川崎市HP:証明交付・閲覧申請書(固定資産税・都市計画税)

即日発行できないもの

預金関係書類

残高証明書は、相続申告の根拠資料として必要です。被相続人が取引していた銀行など金融機関に出向いて発行を依頼する必要があります。

取得には2週間程度かかります。死亡を証明する書類として戸籍謄本や除票、申請者が相続人であることを証明する書類として戸籍謄本やマイナンバーカードなどの本人確認書類、印鑑証明書など金融機関によって求められるものが異なるため、それらを先に取得したうえで手続きしましょう。

保険関連書類

保険関係の以下の書類は、相続税申告の根拠資料として必要です。

生命保険支払通知書や契約内容のお知らせ、火災保険など相続する各種保険の証書写し、解約払戻金が分かる資料などが該当します。被相続人が契約していた保険会社各社から定期的に郵送されたり、請求をしたりして用意します。保険金を請求する場合は、医師が発行する死亡診断書を先に取得しておく必要があります。

有価証券関係書

上場株式などがある場合で証券会社に口座がある場合は、証券会社に残高証明書を、株主名簿管理人に所有株数証明書を発行してもらう必要があります。こちらも即日発行はできず、 2週間程度かかります。非上場株式の場合は、会社の税務申告書や過去3期分の決算書などを取り寄せる必要があります。

その他

手元の通知書・領収書

相続税申告の根拠資料として必要です。役所からの未収金や還付金に関する通知書、亡くなった後に支払った被相続人に関する領収書や、葬儀に関する書類が必要になります。

さいごに

ここでご紹介した書類は、相続で必要とされる書類のうち一般的なものだけです。実際は被相続人や相続人の状況に応じて多種多様な書類を集めることになります。実際に相続人自ら書類を集めるとなると、必要な書類が足りず受付けてもらえず、資料収集がスムーズにいかず、対応に多くの時間を費やすことになります。

当税理士事務所は川崎エリアを中心に、司法書士とも連携しながら書類集めの一部を代理で行う対応をしています。書類集めに不安を感じる場合など、ぜひお気軽にご相談ください。

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