【事例紹介】いらない不動産の処分方法~住まない家~

「親が1人で住んでいた家を相続したが、子供の誰も住む予定がない」「相続しても困るので、売りたい」という方は多いのではないでしょうか。川崎で相続専門の税理士をしていると、こうした悩みをご相談いただく機会はとても多いです。今回は、誰も住まない持ち家を相続することになった、F様の事例をご紹介します。

置かれていた状況

F様は、川崎にお住まいの会社員です。父親は既に亡くなっており、一人暮らしをしていた母親が亡くなり、当税理士事務所に相続の申告の依頼をされました。母親の財産は持ち家と預金で相続人はF様とお兄様の二人です。

持ち家は築50年で、建設当初は3千万円かかりました。F様としては「リフォームすればまだまだ住めるし、両親との思い出が残る場所なので大事にしたいが、誰も住む予定がない維持していくのも大変」と感じていました。

不要な不動産の処分方法

F様のケースでは、次のプロセスで問題を紐解いていくことにしました。

選択肢の提示

住まない住宅を相続する際、主な選択肢は2つです。

1つ目は「そのまま売却する」こと。建物をリフォームして今後も使えるようにして売却するか、建物を取り壊して売却をするかです。それらの費用を買主が負担をする場合もあります。また売却をする場合には、住んでいるときに親が使っていた家財も整理・処分をする必要があります。

2つ目は「賃貸物件として運用する」こと。家賃が入ってきますが、リフォーム等の初期投資や定期的な手入れや管理費用がかがってきます。

F様の場合、不動産会社を通して、簡易的に、売却と賃貸の比較をしました。F様としては、賃料収入が得られるとしても築年数が古いため、管理をすることに煩わしさを感じたため、売却をすることになりました。

お客様の要望と当税理士事務所の対応

売却することを決めたときに、F様が話されていたのが、「両親が大切に住み続けて残してくれた持ち家を売るなら、高く売りたい」「売先や取壊し・家財処分の業者も一つ一つ探すのは大変」ということでした。当税理士事務所は相続専門であるため、このような事例が多く、それらの業者とも複数提携をしているため、ワンストップで紹介でき、F様の手間暇を省くことができました。

手取りを最大化にするために利用できる特例

空き家を相続する場合、相続税の申告の際には、小規模宅地等の特例を誰が適用できるかで相続税の負担が変わってきます。F様・お兄様のどちらが要件を満たすのかを確認しながら、分割協議を行うことで相続税の負担を抑えることができます。また、分割協議が終わって、売却をする際には空き家の3,000万円の特別控除を受けられる場合には、所得税・住民税を減らし手取りを増やすことができます。

分割協議の結論

様々な選択肢を比較検討した結果、F様が持ち家を相続し、小規模宅地等の特例と空き家の3,000万円の特別控除を適用しました。F様が持ち家の全てを取得することになったため、預金はお兄様が多めに取得することで調整をしました。

まとめ

今回のF様の事例では、誰も住まない親の持ち家の問題を無事に解決することができました。しかし、隣地との境界確認や、私道の通行に関する許可が必要だったことにより余計な費用がかかってしまったということと、屋根が隣の敷地にはみ出ているということにより売却金額が下がってしまうことがありました。もし仮に、ご両親が亡くなる前から、持ち家の処分方法について話し合えていれば、これらの問題を事前に解決することができたはずです。

実はF様に限らず、「生前から財産把握や財産の状況について分かっていれば、こんなに困らなくて済むのに」というケースは多いです。相続は、親が亡くなってからがスタートではありません。お互いの心と時間に余裕がある内に、情報共有を進めておくことをお勧めしています。

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